演出:河毛俊作
脚本:一色伸幸
この救命病棟のシリーズでは、
新藤(江口洋介)のスーパードクター的なところを
基本的にはベースにしていたので、
澤井(ユースケ)が新藤を辞めさせたいと思った理由が
“新藤が優秀すぎるから”だったのは、
意外とうまい落とし所だった。
もちろん、新藤の救える命は全力で救う、
最後まであきらめないという姿勢は、
第1シリーズの妻とのエピソードからずっと描いているので、
その時間をかけて作ってきたキャラクターの方を
障害のひとつにしたのは良かったと思う。
だから、そこから工藤(石田卓也)が
パンクしてしまう話に展開したところは、
かなり見応えがあった。
とくに工藤が助けられなかった男性の家へ小島(松嶋菜々子)が行って、
その息子と話すシーンは印象的だった。
あそこで病院からの請求書が届いているところまで
同じシーンに入れたのはインパクトも出たと思う。
当然とはいえ、工藤がお葬式に出席した後どうしたかを
小島がひとことも口にせず、
ただ息子からのメッセージを伝えると約束した締め方も良かった。
そのあたりまでの描き方で
新藤と小島の違いがハッキリ出て、
小島が医局長になるという部分に説得力が出たのも良かったと思う。
最初は指導医と研修医という関係から始まっているので
小島の成長は感慨深かったし、
ドラマの2枚看板としても
ブランクをやっと埋めたという印象があった。
ただ、終盤の花火工場の爆発事故は
さすがにやりすぎだったかも。
目的は同じでも、立場と考え方の違う新藤と澤井が、
お互いを認め合うシーンは確かに必要だったけど、
この手のドラマにありがちなトラブルてんこ盛りの展開は、
さすがに興ざめだった。
とくに澤井のケガはいくら何でも蛇足だった気がする。
ラストは小島が新藤に休暇を取らせるという終わり方でも
ひとつのメッセージにはなったと思う。
でも、それでは暗い印象にもなるので
最後まで新藤はやり方を変えないというエンディングだった。
ここは澤井の改革が簡単には進まないことが明らかで、
今はまだ現場がムリをしないとダメなので、
ストーリーとしても整合性はとれていたと思う。
まあ、新藤は現場で、澤井は上で、という
「踊る大捜査線」的な終わり方にはなってしまったけど。
冬にスペシャルをやることが発表されたので、
そのあたりはまた今度ということか。
この最終回、前半は思ったよりも良かった。
ただ、救命センターの人間関係の構築などを考えると、
1ヶ月遅れのスタートはやっぱり痛かった気がする。
新藤、小島、澤井の3人はいいとして、
それ以外のスタッフにももっとスポットを当てる時間があったら…、
と思うとちょっと残念だった。
採点 7.0(10点満点平均6)
脚本 ★★★☆☆
演出 ★★★★☆
配役 ★★★★☆
音楽 ★★★★☆
主題歌 ★★★★☆
新鮮さ ★☆☆☆☆
話題性 ★★★☆☆
平均採点 6.57(10点満点平均6)