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2007/03/23

拝啓、父上様  最終話

演出:宮本理江子
脚本:倉本聰

一平(二宮和也)の父親問題に関しては、
やはり最後まで雪乃(高島礼子)は口を割らず、
津山(奥田瑛二)の子のつもりで一平を生んだ
という言い方に留まった。

でも、個人的には想像した以上に
雪乃はハッキリと気持ちを語った。
ドラマとしては絶妙な表現方法で、
花街に生きた雪乃の“いろいろあった”人生を描いていたと思う。

その津山と雪乃の別れ方から
“神楽坂は私の立ち入れない場所になった。
そういう場所は作らん方がいい。
そういう場所と会えない人なんてのはね”
という津山のセリフにつながり、
一平とナオミ(黒木メイサ)の再会が
ラストにかけて描かれたわけだけど、
ここはすごく味わい深いラブストーリーだったと思う。

パリへ行くことが本決まりになったナオミが
日曜日もフランス語で話すことにしたというルール変更も
ナオミの夢に対する意志の強さを表していたし、
そのことで筆談になったラストの一平とナオミの会話も
最後までオシャレだった。

兄妹かもしれないと思ってしまった時、
どうだったかとナオミに聞かれて、
“困る!って思った”と答えたのは、
一平にとっては最大限の告白だった。

で、雪乃と同じように、
ナオミも会えなかった時間を覚えているところが
またいいんだよなあ。

とにかく雪乃と津山の昔の関係をリンクさせながら
一平とナオミの恋を描いたところは
すごくうまかったと思う。

恋と呼ぶにはまだ早いけど、
エリ(福田沙紀)と時夫(横山裕)の関係も
一平とエリの関係を絡めながらうまく描いていたと思う。

女将(八千草薫)を施設まで送って行った時に
車の中で交わされた一平とエリの会話は良かった。
この最終回、時夫の出演シーンは少なかったんだけど、
時夫の人柄まで分かる内容だった。

このドラマは全体を通して
そういうセリフの組み立て方が多かったと思う。

律子(岸本加世子)も全体的に出番は少なかったんだけど、
「坂下」を残せる形をどう真剣に考えていたか、
母親である女将のことをどう思っていたか、
そのあたりの心の動きまで
律子が出ていないシーンで補填できていたと思う。

その壊れてしまった女将の姿はやはり泣けた。
結果的に古き良き神楽坂が変わっていく様子と
女将の壊れてしまう過程が
リンクされた形になっていたので、
余計に止めることはできないのかもという思いが募って
せつなさが倍増した。

結局、「坂下」の完全な終わりは描かず、
目の前の屋敷が取り壊されるシーンで
変わっていく神楽坂を表現したけど、
この選択は良かったと思う。
やっぱり「坂下」解体まで描かれるとつらすぎるし。

ちょっと残念だったのは
竜次(梅宮辰夫)が田舎に帰ることになり、
板前を続けるとはハッキリ言わなかったこと。

時代の波に飲まれて本物が忘れられていく状況は
ドラマ界にも言えることなので、
腕のある職人にはまだまだやれると言って欲しかった。

「前略おふくろ様」から約30年。
真面目に生きて、真面目に働いている人々の
ユーモアとペーソスを描く職人の腕は
まだまだ衰えていなかった。

            採点 8.0(10点満点平均6)

                脚本  ★★★★★
                演出  ★★★★★
                配役  ★★★★★
                主題歌 ★★★★☆
                音楽  ★★★★★
                新鮮さ ★★☆☆☆
                話題性 ★★☆☆☆

          平均採点 7.45(10点満点平均6)


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