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2008/05/30

本当と嘘とテキーラ

チーフプロデューサー:佐々木彰
プロデューサー:橋本かおり、小川治、高倉三郎
監督:松原信吾
作:山田太一
音楽:横田年昭
制作:テレビ東京
出演:佐藤浩市、夏未エレナ、樋口可南子、柄本明、山崎努、塩見三省、
   戸田菜穂、益岡徹、寉岡萌希、小野真弓、内田淳子、きたろう、
   立石涼子、大島容子、梅垣義明、多岐川華子、六平直政、鶴田忍、他

「せつない春」「奈良へ行くまで」
「小さな駅で降りる」「香港明星迷」に続く、
テレビ東京の山田太一スペシャル第5弾。

タイトルの“本当”は正しいこと、“嘘”は正しくないこと。
“テキーラ”は危機管理コンサルタントの主人公、
章次(佐藤浩市)が接客業の社員研修で教える言葉で、
本心を隠しても口角を上げて笑顔を作れるおまじない。
要するに本当と嘘の中間、
正しくもあり正しくもない、曖昧な現実を差す。

ストーリーの骨格自体はそんなに斬新でもなかったけど、
さすがに山田太一と思わせるセリフが随所にある作品だった。
とくに里花(寉岡萌希)の自殺に関する
担任教師・大沢(戸田菜穂)の考え方、
里花の母・佳代(樋口可南子)が
朝美(夏未エレナ)に対して感情的になるところなどは、
かなりインパクトがあったと思う。

正しいことの方がいいのは当然。
大人が正しくあるべきなのも当然。
でも、現実は必ずしもそうではない。

このドラマは人はみな正しくあるべきという理想を謳ったものではなく、
その曖昧な正しくはない現実をどう受け止めるかを描いたものだった。
その中で最後に“本当のこと”を言った朝美が、
父・章次が使っていた“テキーラ”も認めていたこと、
章次との生活でそれに救われていた面もあったことを
事前に描いていたところが、
作品として深みが出たと思う。

朝美が14歳という年齢であること、
母を亡くし、父と2人暮らしであることなどの設定は、
そういう意味でも絶妙だったと思う。

良くも悪くも簡単にやってしまう14歳と、
ゆるやかに変化していくしかない大人たちの対比も見事だった。

章次につきまとう高野(柄本明)だけでなく、
自社の謝罪会見では嘘をつきながら
本当のこと言った朝美を褒めに来る国松(山崎努)も
ユーモラスな描き方ではあったけど、
現実はどうであれ、本当のことを言った人間は褒められるべきという
大前提はしっかり押さえる役として国松も重要だった。
実際、朝美は国松の言葉で救われたわけだし。

物語としては教師たちのその後の反応も見たかった気はする。
でも、作品のテーマとしては無くても問題なかった。
自殺した里花のシーンはごくわずかだったけど、
里花のさびしさは十分に伝わったし、
そのあたりの描き方はやっぱりうまかったと思う。

音楽のトーンや全体のテンポ、セリフまわしなどで
古くさい印象も持たれがちだとは思うけど、
間違いなく現代の一部を切り取って描いたドラマだった。

            採点 7.5(10点満点平均6)

                脚本  ★★★★★
                演出  ★★★★☆
                配役  ★★★★★
                音楽  ★★☆☆☆
                新鮮さ ★★☆☆☆
                話題性 ★☆☆☆☆


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コメント

ここ数年の山田太一ドラマの中ではベストだったと思います。
連ドラを書かなくなってから(または時系列ヘンかもしれませんが「今朝の秋」以来)の山田作品に対してずっと「現実・現代とのズレ」を感じていた自分にとっては、今回ストレートにドン!と来ました。

脚本・演出・演技が見事に、いい意味でぶつかり合った!という感じです。

視聴率は二桁いかなかったらしいですが、それがTVドラマ界の現実・現状、だと哀しく思いましたし、反面「TVドラマの底力」を観せてもらった!とも思いました。

投稿: IDE | 2008/06/01 02:28

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