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2009/03/23

ありふれた奇跡  最終回

演出:田島大輔
脚本:山田太一

最後まで見応えのある
丁寧で質の高い最終回だった。

一番見事だなと思ったのは、
翔太(加瀬亮)の嫁は子供が産めないとダメだと言っていた
戦災孤児の四郎(井川比佐志)が、
その考えを変えていく過程。

戦後の本当のどん底を知っている四郎が、
人間の本当の醜さを知っている四郎が、
同居したいという神戸(松重豊)の申し出を断り、
翔太から何を怖がっているんだと言われ、
今は決してどん底なんかじゃないのに
どん底のような考え方をしていたと気づく過程は、
本当に見事な流れだった。

ここは翔太の成長や四郎という人間も描いていたけど、
現代をしっかり見据えた内容だったと思う。
中城家と田崎家が集まったシーンで、
四郎が“どん底はこんなもんじゃない”と言うところは、
若造のほっぺたをはり倒すような説得力があった。

前回の終わりで加奈(仲間由紀恵)が赤ちゃんを預けられた話も、
ケルトの伝説をモチーフにしつつ、
加奈と翔太が決して自分たちが無力ではないことを感じ、
不安が溶けていくエピソードとして効果的だったと思う。

母親(末永遥)が戻ってきたあと、
約束通りにホテルへは行くんだけど、
品を失わない描写で2人の希望を描いたところも良かった。

藤本(陣内孝則)が
子供を育てていく自信を失った母親の世話を焼いていくという部分は、
もう少し具体的な描写のシーンがあってもよかったと思う。

でも、藤本が生きていく上での活力や、
もうひとりではないことの象徴、
そして何より、加奈も子供の成長を
影ながら見続けることができるかもしれないことを想像させたので、
初回冒頭のシーンと同じ場所で
最後にみんなで会う終わり方は良かったと思う。

とにかくこの最終回は家族会での四郎のセリフに尽きるけど、
その前の律子(キムラ緑子)と桂(戸田恵子)のシーンもやたら良かった。
2人の母親をしっかり描いてて。
“幸せとか、そんなことばっかりで生きてないもの”
という律子のセリフはとくに印象的だった。

結局、加奈が死のうとしたことがあることは
家族に話さなかったけど、
それは何の支障もなかった。

みんないろんな問題を抱えていて、
秘密にしていることもたくさんあって、
それでも支え合っていけるということは、
きちんと描けていたと思う。

ちょっと残念だったのは、
CMに入る時に音楽が無造作に切られることが多かったこと。
これはドラマの序盤からけっこう気になっていた。

音楽が悪いというより、
編集・MAの時のこだわりの問題だと思うけど、
余韻がブツっと切られること多かったので、
それだけはどうにも残念だった。


70年代のホームドラマは
家族がみんなお茶の間で食事をしていたのに、
その最中で実際は崩れていっている家族の姿を
山田太一は「岸辺のアルバム」というドラマにしていた。

今は逆にみんなバラバラで自分勝手のようだけど、
ささやかな絆、ありふれた奇跡は存在している。
そこを今回は丁寧にドラマにしていたと思う。

セリフまわしが独特で、
現代の話し言葉との違和感は確かにあるかもしれない。
それでもやっぱり山田太一は
現代のドラマを描き切ったと思う。

            採点 8.0(10点満点平均6)

                脚本  ★★★★★
                演出  ★★★★★
                配役  ★★★★★
                主題歌 ★★★★★
                音楽  ★★★★☆
                新鮮さ ★★★☆☆
                話題性 ★★★☆☆

          平均採点 7.36(10点満点平均6)

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